RevisorによるFedoraのカスタムインストールイメージ作成

 最小限の労力でGNU/Linuxディストリビューションを自分だけの仕様にカスタマイズできるとしたらどうだろう。Fedora 7ユーザの場合、Fedoraのカスタムインストールイメージを構築するグラフィカルインタフェースRevisorのおかげで、今やそうした夢が現実になっている。

 GNOMEのウィザード形式をとるRevisorは、理想に近いデスクトップツールと言える。経験の浅いユーザは裏で何が行われているかをあまり知らなくてもデフォルト設定を利用でき、経験を積んだユーザは.ISOの作成に関する項目を逐一カスタマイズできる。

 Revisorを開発したFedora UnityプロジェクトのWebサイトによると、同プロジェクトは「関心を持った仲間たち」の集まりで「最善のコンテンツによってコミュニティを掌握する方法を見いだすこと」を目的としているという。これまで、Fedora Unityプロジェクトの関心は「リスピン(re-spin)」と呼ばれるカスタマイズされたインストールイメージをリリースすることにあった。もともとこうしたリスピンは、主として正式なFedoraイメージのアップデートとしてスクリプトを使って作られていた。しかし、Pungi、Kadischi、Pilgrimといったツールがリリースされ、Fedora Unityが同プロジェクトのリスピンに対して行うカスタマイズの度合いは、ますます深まりつつある。Fedora Boardの会長Max Spevack氏によると、正式なFedora 7のイメージ作成に用いるツールをすべてフリーソフトウェアとするとの同理事会の決定がFedora Unityの活動を後押ししたという。

 Fedora 7のフロントエンドとしてRevisorを、バックグラウンドで前述のイメージ構築ツールをそれぞれ実行することで、今では自分にぴったりのインストールイメージを簡単に構築できる。Revisorでは、どのソフトウェアを含めるかの厳密な選択が行える。例えば、GNOMEやKDEを外してXfceだけを収録したイメージを構築することが可能だ。古いマシン用に最小インストール構成を用意したり、容量を抑えるために複数のディストリビューションやバージョンを1つにまとめたりすることもできる。セキュリティを考慮して、自分でパッケージを1つずつ選べるインストール環境も作れる。カスタムリポジトリの指定や、USBドライブの容量に応じたカスタムイメージの構築も可能である。また、Revisorで構築したインストールイメージでは、複製システムのインストールの実行がKickstart使用時ほど面倒にならない。このように、Revisorの用途は幅広い。

Revisorの使い方

 RevisorはFedora 7の標準インストール環境には含まれていないが、Fedora 7の正式リリースの少し前にリポジトリに追加されたのでyumやPirutを使えば簡単にインストールできる。

 Revisorはrootアカウントで実行する必要がある。この条件は、Revisorプログラム自体の問題というより標準のパッケージ管理ツールへの依存関係に起因しているようだ。しばらく初期画面が表示された後に現れるオプション群は、以下のとおり。

  1. 構築するイメージは光学ドライブ向けライブDVD/CD(Live Optical)用かUSB用のどちらか
  2. 設定ファイルrevisor.confはどのバージョンを使用するか
  3. 構築システム上にあるパッケージリポジトリのうちどれを使用するか
  4. revisor.confのどのセクションを使用するか(つまり、このデフォルト設定ファイルにおいて、Fedora 7とFedora 6、32ビットアーキテクチャと64ビットアーキテクチャのそれぞれどちらを対象とするか)
  5. どのKickstart設定ファイルを使用するか
  6. どんなパッケージをインストールするのか

Revisor Welcome Screen
Revisorの初期画面(クリックで拡大)

 こうした一連のオプションにより、上級ユーザは独自の設定ファイルを使ってインストールイメージを作成することが可能になる。それほど高度または明確なニーズのないユーザは、1、4、6番目の項目を設定するだけでよい。Revisorとともにインストールされるrevisor.confやsample-ks.cfg(Kickstartの設定ファイル)は、多くの人々のニーズに合致しているはずだ。少し厄介かもしれない唯一のオプションが6のパッケージ選択だが、FedoraのインストーラAnacondaで使われているのとよく似たインタフェースで行えるので、設定が難しいわけではなく単に時間がかかるというのが実際のところだ。

 オプションの設定が終わると、Revisorによるインストールイメージの構築が始まり、依存関係の解決、パッケージのダウンロード、パッケージへのAnacondaインストーラの追加が行われる。オプションの選択内容にもよるが、この処理には多少時間がかかる場合がある。例えば、デフォルトのパッケージ選択でDVDイメージを作ると、パッケージのダウンロードだけで数時間かかることがある。ただし、結果として構築に失敗することは少ないように思える。インストールイメージに関して特殊なニーズのある人ならきっと誰もが、それだけの手間をかける価値があると認めるだろう。

基本的だが強力な機能

 Revisorには早急に用意された感がある。Fedora 7リリース前のわずか数日前にリポジトリに追加され、急ぎのためかどうやら最終的な仕上げの処理が省略されたようだ。例えば、初期画面にスペル誤りがあったり、上級者向けオプションにグレーアウトされているものがあったりする。同様に、構築に使用するリポジトリの選択対象はすでに構築システムに追加されているものに限られており、ウィザード内からの追加は一切できない。コピー先のディレクトリを変更するとRevisorがデフォルトの設定に戻ってしまうのも、混乱のもとになっている。

Revisor: Media Selection
Revisor:メディアの種類の選択(クリックで拡大)

 また、これまで構築プロセスを自動化してきたRevisorは、それ以外の部分にも目を向け、テキストエディタで設定ファイルを開けるようにすることで使いやすさを高めることができたはずだ。同様に、構築処理の最後にバーナー(メディアへの焼き付けツール)を開いて完成したイメージをCDやDVDにコピーする機能を用意することも可能だったろう。ただ、最後の画面でグレーアウトされているオプションから判断すると、最終的にはこうした機能のほか、BitTorrentファイルやJigdoファイルの作成、サーバへのアップロード、USBデバイスへの書き込みといった機能の追加も想定されているようだ。

 現在使えるのは基本的な機能だけだが、今のままでもRevisorは非常にシンプルかつ便利なツールであり、長い間こうしたツールが標準的なディストリビューションの基本要素になっていなかったことが不思議に思えるほどだ。結局、多くの人々がフリーソフトウェアは選択がすべてだと言っている以上、インストール方法に関することはもっとユーザに委ねることが一番自然なのではないだろうか。

 もちろん、すでにFedora 7をインストールしていないとRevisorが利用できないというのはナンセンスだ。だが、たとえそうだとしても、Revisor ― あるいは類似のプログラム ― はやがて大きな支持を得ることになるだろう。

Bruce Byfieldは、NewsForge、Linux.com、IT Manager’s Journalに定期的に寄稿しているコンピュータジャーナリスト。

NewsForge.com 原文