Microsoft、Flash対抗の「Silverlight 1.0」を正式リリース――開発ツール連携やWindows Live配信サービス対応をアピール

 米国Microsoftは9月5日、「Silverlight 1.0」ビデオ・プラグインの正式版をリリースした。また、「Moonlight」プロジェクトの一環としてSilverlightをLinuxに移植するNovellの取り組みに協力することも明らかにした。

 Silverlightは、「Windows Media」技術を用いて音楽・映像を高速にストリーミングおよび再生する技術で、Web上のマルチメディア・エクスペリエンスを向上させるために開発された。

silverlight.jpg
米国Microsoftの「Silverlight」サイト

 Microsoftはこれを武器に、ライバルのAdobe Systemsが提供するWeb用マルチメディア・ソフトウェア「Flash Player」に対抗しようと目論んでいる。

 「ついにSilverlightプラグインをリリースすることができた」。Microsoftのユーザー・エクスペリエンス・プラットフォーム/ツール開発チーム担当グループ製品マネジャー、パリマル・デスファンデ氏は感慨深げにそう宣言した。

 すでにSilverlight 1.0の正式版が、 Silverlightの日本語サイト から入手可能になっている。

 Microsoftによると、次期版のSilverlight 1.1には、.Net開発やトランザクション機能などが追加され、よりインタラクティブなコンテンツを扱えるようになるという。バージョン1.1は、現時点ではまだごく初期のアルファ版だ。

 Silverlightは現在、WindowsおよびMacintoshにしか対応していないが、NovellがMoonlightプロジェクトの一環としてLinuxクライアント上で動作させるための取り組みを進めており、Microsoftもこれを支援しているという。

 Moonlightプロジェクトを統括するNovellのディベロッパー・プラットフォーム担当副社長、ミゲル・デ・イカザ氏は、Moonlight 1.0は6カ月以内に完成すると説明している。

 「主要なディストリビューターにMoonlightを配布するとともに、RPMおよびDEBディストリビューション・パッケージとしても提供する。 Linuxのパッケージング・システムに詳しくないユーザーのために、Mozillaベースのインストーラも用意する」(イカザ氏)

 Microsoftのデスファンデ氏は、SilverlightとFlashの相違点をいくつか指摘した。それは、Silverlightが低コストで高画質の映像を配信でき、Microsoftの開発者用ツールと連携可能であること。そして「Windows Live」のSaaS(Softwear as a Service)コンポーネントとして「Silverlight Streaming」を提供していることである。

 「われわれのサービスを利用して映像コンテンツのストリーミング配信したい顧客には、そうした選択肢も用意している」(デスファンデ氏)

 同氏によると、有名なプロモーターであるビンス・マクマホンズ氏のワールド・レスリング・エンターテインメント(WWE)やエンターテインメント・トゥナイト、ビデオ配信を行っているブレイク・ドットコム、ホーム・ショッピング・ネットワークなど、Silverlightのユーザーはバラエティに富んでいるという。

 WWEのインタラクティブ・メディア担当クリエイティブ・ディレクターであるロス・アンガート氏も、Microsoftのツールを利用できる点はSilverlightのアドバンテージだと評価する。

 同氏は、映像を低コストでストリーミングでき、複数のビデオ・ストリームを再生できるなど、「Silverlightには開発面での利点がある」と述べた。

 「Flashは確かにすぐれたツールであり、われわれのサイトでもFlash製品を使用している。だが、パートナーシップを結ぶ企業としては、これまでのところMicrosoft以上の存在はいないと思っている」(アンガート氏)

 WWEは今後、Silverlightを利用して、プロレス関連のビデオやブロードバンド・コンテンツを配信していく予定だ。アンガート氏は、現在のシステムに大きな変更を加えるつもりはないとしている。

 「(Silverlightのおかげで)ユーザーはわれわれのビデオ・ライブラリのすべてにアクセスできるようになるだろう」(アンガート氏)

 開発者は、Microsoftの「Visual Studio」および「Expression」ツールを使用し、Silverlight向けのアプリケーションを開発することができる。同社は5日、 Silverlight用にリッチ・メディア・コンテンツをエンコードし、配信する「Expression Encoder 1.0」(旧「Expression Media Encoder」)をリリースしている。

 5日の発表会では、パートナー・プログラム「Silverlight Partner Initiative」の取り組みも紹介された。すでに35社以上の企業がSilverlightのサポートを表明しており、その中には、アカマイ・テクノロジーズ、アイデンティティマイン、エレクトリック・レイン、トゥーフォー・デジタルなどが含まれているという。

(ポール・クリル/InfoWorld オンライン米国版)

米国Microsoft
http://www.microsoft.com/

提供:Computerworld.jp