GmailなどのメールシステムにアクセスするAPIを提供するInbox、オープンソースで対応アプリケーションコードを公開

 電子メールプラットフォームを開発するベンチャー企業の米Inboxは10月1日、オープンソースで公開しているプラットフォーム「Inbox Mail Sync Engine」を使用してメールアプリケーションを開発するためのコード集を公開した。単体でも十分実用に耐えうるもので、これをベースに独自のアプリケーションを開発できる。

 Inboxは、マサチューセッツ工科大学(MIT)出身で元米Dropboxの開発者、Michael Grinich氏らが立ち上げたベンチャー企業。メールアプリケーション構築のためのプラットフォームを開発する。IMAPへの依存をなくすことを目標とし、Gmailなど既存のメールプロバイダ上のメールにアクセスして、メールの修正や送信を行えるモダンなRESTful APIを提供する。APIはデータのやり取りにJSONとUnicode(UTF-8)を利用し、MIMEなどを気にする必要はないという。中核となる「Inbox Mail Sync Engine」はオープンソースソフトウェアとして公開されており、クラウドやオンプレミスなどで動かすことができる。ライセンスはAGPL。

 InboxはすでにGmail、Google Apps、Yahoo! Mailに対応済みで、Microsoft Exchange、Hotmail/Outlook.com、iCloudなどの電子メールサービス対応に向けて作業が進められている。メールに加えて、カレンダーAPIも公開している。

 今回、Inbox APIをベースにリッチな電子メールアプリを構築できる2種類の「scaffold」(骨格となるフレームワークコード)をオープンソースで公開した。HTML5向けの「Inbox HTML5 App Scaffold」はInbox Javascript SDKを利用するクライアントサイドのAngularJSアプリケーションで、受信ボックス/下書き/アーカイブのブラウジング、スレッド表示、添付の閲覧とダウンロード、下書きの保存/編集/送信、スレッドのフィルタリングなどの機能を備える。もう1種類はiOS向けの「Inbox iOS App Scaffold」で、SQLiteキャッシュとInbox iOS SDKを土台にGmail風のコンポーザーを提供する。今後Androidなど他のプラットフォームのサポートも進めるという。

 同時に、先に発表していた開発者向けプログラム(最大10アカウント・年額99ドル)を拡充し、1アカウント月額5ドルのホスティングバージョンを発表した。ユーザーに最大30日の無償トライアルサービスを提供できるトライアルモードも用意する。Inboxは無料・広告モデルではなく、有料の製品を提供するとビジネスモデルを説明している。

Inbox HTML5 App Scaffold
https://github.com/inboxapp/inbox-scaffold-html5

Inbox iOS App Scaffold
https://github.com/inboxapp/inbox-scaffold-ios